快適性を左右する空調設計
エアコンセンターACでは、お客様が快適な空間でお過ごしいただけるよう、熟練したスタッフが詳細の空調設計を行います。
お問合せ後現場を拝見させていただき、施工に必要なあらゆる視点で確認をし、最適な空調設備を提案いたします。
ここでご紹介するのは職人が行う選定についての根拠である空調設計についての一部です。
空調負荷とは ー エアコン能力の計算の仕方 ー
エアコンの能力計算は、室(空調する空間)の面積×高さ=容積が基準となります。そこに建物の構造、太陽熱の挿入、発熱機器、扉の開閉頻度などを考慮して面積に対し「負荷指数(W)」を掛けて、その室内に必要な冷暖房能力が算出されます。
空調負荷は冷房でなく暖房負荷を重視して計算します。そのため、天井の高さや冬場の外気温を考慮して計算を行います。

同面積でも建物の構造や室の用途により設置するエアコンの能力が変わります。
例えば、10坪(33平米)の事務所であれば2.5馬力(P63)程度、居酒屋であれば4馬力(P112)程度が必要です。また、同事務所でも鉄筋コンクリート造で2馬力程度、プレハブ造で4馬力と倍の能力が必要になるケースもあります。
様々な空調負荷(冷暖房を効きづらくする要素)を考慮して最適な能力を選定する必要があります。

エアコンの室内機の選定
まずは室の形状と冷暖房空間の形状をベースに空気の流れをイメージします。
室内機には大きく分けて「天井カセット形」「天井吊形」「床置形」「壁掛形」と4形状ございます。例えばL字型の空間や美容室などの強い風量を嫌う業種などには、4方に風が出る天井カセット4方向形が採用されます。同じ4馬力でも、4方に風が出るため、1方向から風が出る機種に比べ、1馬力×4方向吹出しの穏やかな風でムラが無く、空気も早く行き渡ります。
また、倉庫や工場など大容量の空調を必要とする空間には床置形が採用され、学校や学習塾などの教室には天井吊形を複数台並べて設置するなど目的と用途に応じて選定する必要があります。

そこで注意が必要なのは、エアコンは扇風機などの直接風で快適を生み出す設備ではなく、間接的に室内全体の温度を調節することで快適性を生み出すための設備です。したがってエアコンの直接風が室内の対象者に当たらないような設計が必要となります。特に1方向吹き出しタイプは1か所からまとめて風が出るため風量が大きく、室内のデスク、テーブル、いすの位置お客様が長く滞在する場所などには直接風が当たらないような形状および位置選定が必要となります。
1方向の風量が大きい場合は室内機を複数台にするなど、吹出し口を分割する方法もあります。
その場合、室外機1台に対し室内機を複数台組み合わせるマルチタイプ、室外機を分けて1対1のペアを複数台設置するプランなどがありますが、個別で制御が必要な空間は後者の設計が理想です。
エアコンの空気の流れについて、室内機の吹き出し口から出た空気は、正面に吹出した後、壁に当たり跳ね返って循環し、その風が室内機に戻る(リターンという)ことで温度調節を行います。
吹出し口から出る風の先(吹出風の到達距離)が対面の壁までの距離と一致することで、風のリターン速度が保たれ、より効率的に空調が出来るということになります。


エアコンの様々な施工設計
空調設計における様々な施工設計の一部をご紹介いたします。お客様のエアコン設置に該当する要点をご確認ください。
路面店舗

エアコン設置が路面店舗である場合、出入り口の開放の有無をご確認ください。
開放する店舗は常閉店舗に比べ、2馬力程度エアコンの能力をアップする必要があります。
工場内の入れ替え

工場内のエアコン入れ替えの場合、室内機直下に製造機等が無いか事前にご確認ください。
移動が困難な機械であれば設置場所を検討する必要があります。
寒冷地用

お客様の地域の環境が、冬季外気温0℃以下の場合は最低温度をご確認下さい。
エアコンの暖房能力が強い機種を選定する必要があります。
新築物件

設計段階である程度エアコンの概算見積をお出しします。現場調査は上棟直後に行います。お早目のご依頼をお願いいたします。
寒冷地の架台

寒冷地で50cm以上の積雪がある地域は、室外機用の架台を高置きにする必要があります。
豪雪地帯

エアコン工事当日に除雪作業が必要な場合があります。豪雪地域は冬季以外の工事をお勧めします。
ドレン用配管の流用

ドレン排水管の既設を流用する場合、間接排水であるか確認が必要です、汚水・雨水に繋がっている配管はご使用いただけません。
配管流用時の状態確認

屋外の冷媒配管の保温材が剥がれ、銅管が露出している場合は、エアコンの能力低下の原因となるため、保温の巻き直しが必要です。
ブレーカー流用

エアコン専用ブレーカーは安全上メーカー規程の容量のものを使用します。容量条件を満たさないブレーカーは安全装置としての役割を果たさないため、既存を流用できないケースもありますので、確認が必要です。
火災報知器

消防法で設置が義務付けられている火災報知器は、エアコンの吹出し口から1.5メートル以上離す必要があります。
火災報知器の移設には消防設備士の資格が必要になるため要注意です。
配管流用時の仕様確認

既存配管を流用する場合は最大配管長と故障履歴を確認する必要があります。
所見だけでなく運転状況やリモコン上の故障履歴を確認し流用可否の判断を行います。壁面開口時のレントゲン撮影

鉄筋コンクリート造の壁に配管貫通用の開口を行う場合、構造上鉄筋の損傷を防止するために非破壊検査(レントゲン撮影)が必要な場合があります。
室外機転倒防止

エアコンの室外機の転倒防止金具取付けは標準工事です。地面設置の際は壁面から本体を固定、屋上へ設置する場合で近くの壁や床面より転倒防止が取れない場合、コンクリートスライドブロックや縁石など1000~1200ミリサイズを使用し、ワイヤーで固定するなど倒れにくくする施策が必要です。
室外機壁面設置の注意点

冬場、室外機底面からドレン水が放出されます。室外機を地面より高い位置に設置した場合、高い位置からドレン水が周囲に飛び散り、通行人等ある場所では迷惑が掛かります。その場合は室外機下部のドレン処理を行う施工が必要です、室外機底辺から出る排水を排水管へ集中させ、地面から間接排水をするドレン配管工事です。
市場や倉庫など連結建物への設置

建物を連結して配管を受け渡す場合や、隣接する建物が多い地域などは消防法により配管貫通穴の防火区画処理が必要です。
機械撤去後の既存配管流用

既存エアコンが撤去され、残置配管を流用する場合は、既存配管の管端処理の有無、配管の施工状態を確認し判断します。状態が良くても配管流用することで不純物の機内挿入が発生する危険性、機器故障防止を考慮して流用する必要があります。
室外機境界線沿い(吹き出し先が庭や隣家の窓)

エアコンの室外機の設置場所が近隣の至近距離である場合、吹出し先への影響を考慮した設置場所、近隣の方への理解が必要になります。
室外機境界線沿い(通行人)

エアコンの室外機の設置場所が近隣の至近距離である場合、吹出し先への影響を考慮した設置場所、通行人への配慮が必要になります。
室内機と他設備との距離

室内機から蛍光灯までの距離、火災報知器までの距離、換気扇の場所等、天井カセット形や天井吊形は関係性のある他設備との距離を適正に保持できる設計が必要です。
床置形室内機の転倒防止

エアコンの床置き型室内機は、高さ1800mm(ミリ)程度あるため、室内の壁面から転倒防止を施策する必要があります。その際壁面へ「ビス」打ちを行いますので、あらかじめご了承いただく必要があります。
ビルトイン形の更新工事

ビルトインエアコンは吹き出し口が複数あり、新旧でその送風数が異なる可能性があります。現行機種で最適な空調を設計する必要があり、現状維持ができない場合もあります。
配管ウォールキャップ

エアコンの配管を貫通するための壁開口部には、壁と配管の隙間を埋めるための施策が必要です。粘土では美観が損なわれるため、ウォールキャップという塩ビ製のキャップでカバーする施工法が理想です。
室内に配管が露出する場合

室内配管が露出する場合は塩ビ製のスリムダクトでキレイに仕上げるのが一般的です。
ビルマルからの入れ替え

ビル用マルチから汎用エアコン(一般的なエアコン)へ更新する場合は、室内機・室外機を渡る配線の芯数が異なるケースがあるため、配線の増線工事や設定変更などが必要です。
アーケード内店舗設置

アーケードの室外機は屋根上に設置されているケースが多いため、室外機の搬出入方法、作業時間帯、駐車場からの距離など時間設計が必要です。
複数台室外機更新時のクレーン回数

複数階のシステムを更新する際、室外機をまとめて搬出入するとクレーン車調達費用が1度で済みコストが浮きますが、全てのフロアの空調がストップするため、エアコンの使用頻度が低い中間期に工事をお勧めします。
塩害仕様に関して

海岸より300mを超え1km以内は耐塩害仕様、海辺から300m以内は耐重塩害仕様の室外機を設置し、室外機の劣化を防止します。
フロンガス

フロンガスは大気へ放出できません。フロン排出抑制法で定められていますので、適正な回収と破壊処理、それに伴い書類の発行が必要です。
室外機架台流用の場合

既存室外機の架台に錆、塗装剥げなどの経年劣化が確認される場合は、ローバル亜鉛塗装で塗ると新しい室外機との差がなく自然に仕上がります。
天井型の化粧パネルの色

天井の色や店舗の雰囲気に合わせてホワイト以外の黒、ベージュ色などお選びいただけます。
GHPからの入れ替え

ガスヒートポンプエアコン(GHP)から電気式エアコンへ更新するときは、お客様ご自身でガス栓の止栓手配をお願いします。
冷却塔(クーリングタワー)の撤去

水冷式をご使用のお客様が空冷式に更新する場合、冷却塔が不要になります。冷却塔は塩ビ製部分が多いため、産業廃棄物処理になります。
天井ビルトイン形

天井ビルトイン形は既存がハーフパネルであっても、本体を撤去する際に天井開口を広げるため、入替後はフルパネル(パネル面積が大きいもの)で仕上がります。
若しくはお客様にて内装工事のご手配をいただく必要がございます。
サーバー室のエアコン

サーバー室向けは、電算機用エアコンという特殊エアコンがあります。ご予算的に汎用機の設置をご希望されるお客さまには補償範囲が異なります。
壁開口(新設)

テナント様がエアコンを新設する際、壁開口をする、転倒防止等で壁にビス穴を開ける、等テナント様経由で建物オーナーに許可を得ていただきます。
撤去エアコンに関する書類

ルームエアコンを撤去処分する際は、家電リサイクル法に則り、メーカーに引き取ってもらう手続きを有料で申し受けます。
天井カセット形の結露

天井内の相対湿度が80%以上、温度が30度を越える場合はエアコン本体が結露する場合があります。その際は天井内の本体四方を保温処理する必要があります。
保温対策

調理場等室内の発熱量が多い場所、天井内を外気取り入れ通にしている場合、スレート・瓦ぶきの天井等熱がこもる場所には結露が発生しやすいため、保温対策が必要です。
床置形室内機について

微燃性のあるR32フロンを採用する床置形エアコン室内機には安全対策として「冷媒センサー」を組み込むことが義務化されています。
床置形冷媒センサーが空気成分に反応した場合、センサーの有償交換が必要となる可能性があります。冷媒ガス以外にもスプレーや薬剤などを近くで使用されますと異常を検知し運転停止や送風運転以外の使用ができなくなる可能性があります。一度反応した冷媒センサーはメーカーの有償交換が必要となる可能性があります。また、冷媒センサーの交換推奨周期は5年となっております。
自然冷媒R443aガス

省エネ効率が高いため冷媒ガスよりも効率よく熱交換が行えますが、自然冷媒ガスに入れ替えると故障の原因になります。メーカー保証対象外、現状のガス回収フローに適応していない点から、入替されている場合には配管新設(可燃性ガスのため溶接工事不可、配管流用ができません。)ガス回収作業はガスの入替を行った業者様へご連絡いただく必要がございます。
プロパンガスボンベと室外機の距離

ガスボンベと室外機の離隔は2m以上とLPガス保安の法令で定められております。2m以上隔離が出来ない場合は不燃性隔壁で火気を遮る措置が必要となります。隔壁の高さはLPガス充填容器よりも低くしないでください。
室内機ショートサーキット

ショートサーキットとは自分の吹き出した風を即、吸い込む状態を言います。室内機吹き出し口周辺に壁や遮蔽物がある場合はショートサーキット(温度感知不良)対策として、吹出口を遮蔽材にて塞ぐことができます。
外部配管化粧

外部露出配管は基本的にテープ巻き仕上げですが、お客様のご要望、ご予算、現場状況によってはスリムダクト、鉄板ラッキング、SUSラッキングで仕上げることも可能です。
ダイキンのプレジョイント加工

ダイキンの「ロウ付け不要」プレジョイントシステムで分岐接続時の作業時間を抑え、施工品質も向上します。